昨年2012年は我が家は病気の年でした
夫の
前立腺がん の記録を覚書として書き留めておきます
ただしあくまで夫の個人的な記録ですから誰にも当てはまることではありません。
また、ボイスレコーダーなどでなるべく正確な説明を書いているつもりですが
専門家ではありませんので、違っているところもあるかもしれませんので悪しからず。
60歳以上の男性や家族の方の参考になればと公開します。
長くなりますのでお時間が無い方はスルーしてください


2012年7月のPSAの値が7.4まであがり生検をすることに!
(4.0以上が検査が必要になるそうです)
だからと言って、PSA 40以上でもがんでは無い場合もあるそうです。
PSAの検査はホームドクターでも出来る簡単な血液検査です。
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8月1日入院しての組織検査、前回は4年前?大量出血で
今回も?と少々びびるものの、1泊で無事退院しました
(この大量出血(下血)は年に1~2人しかないトラブルのようですが・・・)
8月9日結果を聞きに・・・
10本中3本が黒、すなわちがんが見つかる「奥さまも一緒にお願いします」と言われたそうで
それまで本当に病院に行ってるの?と疑うほど「行かなくていい!」
と言って一人で行っていた夫も「27日には夫婦一緒にだってさ!」(笑)
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先生の40分もかけてしてくださった説明によれば
低リスク、中リスク、高リスクで言えば中リスク
左右の検査の結果、3+4でグリソンスコアが7
前立腺がんの悪性度を表すものでステージ2で
悪性度は中だそうです
しかし割と初期のものだそうで
先生もあまり深刻ではありません8月27日の診察までに19日、23日に造影MRI、骨シンチ、CTをとる。
検査の結果、転移はなし!
骨に転移が見られることがあるがそれもない!ちなみに、前立腺がんは他臓器への転移はほとんどなく、あれば骨転移だそうです
程度がわかり、いくつかの治療法を提示され、「ご家族で相談してください」
そう言われたって、素人としては何を基準に選ぶ?
治療法を選択するために、折しも担当の泌尿器科の先生の講演会があり
私も一緒に聞きに行ってきました。
今回は
ロボット・ダ・ヴィンチ手術と、放射線トモセラピーによる直接照射治療の講演会です。

前立腺がんの治療法には
いくつかの選択肢が提示され
1何もしない
2手術
3放射線治療
4ホルモン療法
1の何もしないというのは、まず進行が遅く、
高齢だと寿命まで発症しない確率が高いということらしいです
わが家のレベルでの選択は2か3なので・・・さらに細かく!
2-1開腹手術・・・以前から実施されているのおなかを開いての手術
術後退院まで、かなりの時間を要します(3~4週間)
2-2腹腔鏡手術・・・おなかに穴をあけ道具を入れて人の手により手術
最近良く聞く手術法ですが前立腺がんの手術は、奥深く、多臓器に隣接しているため
技術的に難しく大学病院などがおこなっている方法です。
患者の負担は少ないものの、技術的に難しく、どんどん普及すると言うわけには
いかないそうです。
高度な技術を必要とし、なかなか普及しなかったハイレベルな手術です
2-3ロボット・・・ダ・ヴィンチ手術 腹腔鏡ではあるが施術者が遠隔操作で行う手術
解り易く言えば映画「ミクロの決死隊」のようかな?
これは中にカメラも入り、細かいところまで見えるため、
腹腔鏡よりわかりやすく、難易度は腹腔鏡より低いようです
乱暴な言い方をすれば、腹腔鏡より簡単・安全とでも言いましょうか・・・
また、退院まで7日前後で、傷が小さいため負担が少ないのでしょう
ごく最近
2012年春から、保険適用が認められた方法です。
2011年以前でしたら、高額医療で我が家では払えなかったかもしれません
3の腹腔鏡の利点を生かし、更に精度をあげた
ロボットアームによる遠隔手術で、ダ・ヴィンチという器械で行う
まだ全国で60台くらいの新しい治療法なのです
因みに神奈川県では2台しかないようです
アメリカでは主流の手術法だそうで、
アメリカでは男性のがんの死亡率第一位は前立腺がん ということで
開発がすすんだようです。
日本でも近い将来前立腺がんが
男性がん死亡率トップになる予兆があるそうです 3-1直接放射線治療(トモセラピー)・・・怖い、副作用が多そう、手術ができない人がうける治療
というイメージがあるかもしれません。
しかし実は、身体を傷つけない 、身体の機能(はたらき)と形を維持できる
身体に対するダメージが比較的少ない
高齢者の方、他の病気がある方にもできるという特徴があり、
身体にやさしい治療だそうです。
ただし個人的に受けた説明では
●毎週5回、計8週間、連続で受けるのですが、それはキツイ!と・・・
●今は直腸への照射のリスクはほとんどないとはいうものの
本人はそれがイヤーな気分だそうで、選択肢から外したようです
後述の後遺症は手術とほとんど変わらないらしい
トモセラピーとは外照射の進化系ということだそうです
今まで直接照射の場合、前立腺の位置が直腸と隣り合わせなので
直腸まで放射線があたるリスクがあったものを
そのリスクを軽減し、直腸を出来るだけ避けて、
必要な患部にだけより強い線量(76グレイ、今までは70グレイ)を
照射できるようになったということらしい
通院して放射線を照射してがん組織を
壊してしまう方法です
今はIMRTで照射野内でがんの形に合わせた線量分布を作るので
ごく狭い範囲、可能な限りピンポイントで照射できるようになったそうです。
8週間、週5回の連続通院で受ける放射線治療なのです
この方法は昔はピンポイントでの照射が難しく
直腸への影響もあり、いろいろ問題があったそうです
今ではそのリスクもずっと減り選択する人も多くなっているそうです。
体にメスを入れないというのが最大のメリットです
3-2 小線源療法・・・前立腺に直接小さな放射能を出す粒を埋め込む方法
手術は数日の入院で済み、いわゆる外部からの放射線照射
と同じ効果のようです。10日から2週間ほどの入院で出来るようです
ただし、1年(くらい)の間に万が一他の理由でも死亡した場合
そのまま火葬にできず、取り出す作業が必要とのことです
常に放射能を出しているようなイメージですが
長時間赤ちゃんを膝に抱いたりしなければ、
家族に放射能の影響はないそうです
他に 保険適用外の陽子線治療、重粒子治療などもあるそうですが
高額な治療費がかかります。
4ホルモン療法は我が家には適さないとのことで
詳しい説明は受けていませんが転移がある場合や再発など、これを選択するようです。
友人のご主人はこの方法で発病以来4年がたちましたが今も元気に生活しています
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色々調べたり、説明を受けたりすればするほど
怖くなり、迷ってしまう
ではこの二つのリスクはどうなのか?
先生の説明では
ほとんどリスクは同じ程度で
施術後の後遺症などですが
1尿漏れ
2頻尿
3勃起不全などがあるそうです
そのどれも手術法・個人差があるそうですが・・・
迷いに迷った結果、最後に先生に「もし、ご自身だったらどれにしますか?
ご家族だったら、どれを選びますか?」と質問です
「僕だったら痛いのが苦手だから、トモセラピーかな」(笑)
放射能という響きがやはりイヤだと、これらの選択肢のなかから、
結果、夫は「ロボット・ダ・ヴィンチ手術」を選びました。
前立腺がんは進行が遅く、あまり急ぎません。家族としてはすぐにもやって欲しいのですが
順番もあり、結局ほぼ3か月後、
10月27日に手術が行われました

朝9時過ぎに手術室に入り、5~6時間の予定で開始
癒着があったとかで結局、
9時間の大手術夕方病室にピースしながら生還し、家族をほっとさせました
翌日には管がついたままながら
病棟内を歩行し、リハビリがはじまりました
それでも後遺症が心配です
先に書いたように
「尿失禁」「頻尿」「勃起障害」等々
尿失禁については階段の上り下りですら
漏れてしまうことがあるようです
また頻尿により、旅行や遠出を考えてしまうと言う人もいるそうです
幸い夫は、術後すぐからそれらの後遺症は見られません
本人いわく、旅行やゴルフで心配なときは
尿漏れパットを持っていくが失敗したことはない!そうです。
もっとも「勃起障害」については私にはわかりません
まずは成功と言ってよいと思います。
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それまでに諸々の同意書やら、全身麻酔の説明など
なんだかのんびり事が進みます。
しかし、じわじわと見えない恐怖は増していきます
待つ時間が長い分、時には悪いことばかりを考え、何も手につかなくなったこともあります
夫は何も口に出しませんが、本人ですから恐怖・不安は私以上だったと思います
他のがんだと、急を要する場合もあって
数日、数週間で手術の運びとなるようですが・・・
前立腺がんは、進行が遅くその分、考えたり、迷ったり、悩んだり・・・も
多いと思います。反面覚悟も決まり、これからの生き方などまで考えます。
4人に2人が前立腺肥大か前立腺がん の可能性が高いそうです。
半分の人が通る道であるなら検査し、早期発見し処置すれば
さほど怖いものではないと思います
今回、夫も7年前から検査を続け、
「やっと見えてきたね。きちんと検査してきたから早期に発見できたんでしょう」
と担当医からお褒めの言葉をいただきました。今後も安心することなく、検査は続きますが
3か月たとうとする中、以前と変わらず仕事に遊びにと楽しんでいます
貰った命です。あと何年一緒にいられるか・・・
ちょっと伸ばしてもらった人生、寿命です。
有意義に送りたいと思います。
まわりの男性の方に健康診断、してね!と声を大にして伝えています
治せる病、予防できる病気、早期発見できる病気は健診からです健康寿命を全うするために健診をうけ、穏やかな老後を送りたいと思います